引き続き、アドバンスド講習の個別レポートをお送りさせていただきます。
今回はこの日最後に受けて頂いた、ロードスターRFにお乗りのI様のレポートです。
レッスン日からお待たせして申し訳ありませんが、
落ち着いて読み返すことで改めて受講内容の振り返りや、
次回走るときのリマインドが出来るようにメチャクチャ詳しく書いています。
前回のブログの冒頭にも書いた内容ですが、このブログは「受講者さんのドライビング」を中心にした、物語の提供で、殆どの部分がI様個人のために書いているものです。
よって、I様以外が読むと「長すぎ・・・」な感じで仕上がっております。ご了承ください。
それでも「長すぎ・・・」に感じずざっと読めてしまう方は、
おそらく生でレッスンを受ければ強烈に楽しい時間が過ごせると思いますので、ぜひレッスンでお会いしましょう。
ここだけ宣伝です。(笑)
今回は前置きは短めで行きましょう。どうぞお楽しみください!
I様の車はロードスターRF。
I様には愛車の前でバッチリポーズを決めて頂いたので、
ツーショット写真をTOP画像にしてみました。
このロードスターRFの色はポリメタルグレーと言うそうです。
お洒落なカラーリングですね!
決して派手な改造を施された車ではないのですが、
この車自体に非常に強い愛着を持たれて乗ってらっしゃいます。
ご契約から納車、その後の車弄りといったRFを中心にしたご自身のストーリーをYoutubeにアップされており僕も拝見しましたが、とても素敵でした。
僕も個人のブログでチューニングの履歴とその時に考えた思考や自分の体験をを連載モノで投稿した記事があるんですが、
今振り返ると色々蘇ってきて当時の気分に浸れます。
車と過ごす「時間」をどう彩っていくか?どう残すか?は
カーライフの中でひとつ奥深いテーマだなぁと思います。
I様はアドバンスド講習は当日に知って興味を持ってくださり、
座学講習後にお申込みしてくださいまして、
I様のお申し込みを持ちましてこの日は満員御礼でした。
(ありがとうございます!)
お申し込み時のカルテに基づくと、S様の自己評価は「初心者+」レベル。
同日受講されたのF様、H様と同じく、運転経験自体はベテランで、「サーキット走行はまだまだ」 という方です。
レッスンテーマのご要望は「ライン取り、ブレーキング、荷重移動」
同乗レッスンは前後30分しかないためテーマは絞ったほうが良いため、
ブレーキングをメインのテーマに据えました。
ただ、この日僕は「何でも質問・相談コーナー」なるものを提供しており、
「同乗で実体験してもらうのには劣るけど、口頭で説明を受けたり相談したい方はどうぞ」というスタンスでしたので、
少し早めにI様のところにお邪魔して、ご友人と一緒にライン取りの説明を行いました。
ここでいうライン取りは同乗レッスンで提供するような裏テーマに満ちたものではなくて、本当にオーソドックスに「美浜サーキットはこういうラインで走るのが基本ですよ」という内容。
スマートフォンで録画しながら聞いていただきました。
狭いようで結構走り方に自由度があるレイアウトでして、
「どこを走ればいいのか分からない」という受講生は多い印象です。
意外とライン取りだけでも奥深い話になります。
(ここからは話が脱線しますので、本題に戻るまではちょっと文字サイズを小さくしておきます。)
一緒に聞いて下さったご友人の方からは「説明が上手い!」と太鼓判を押していただいたりですとか、
「次回はアドバンスド講習を受けたい!」と言って頂いたりですとか、嬉しいリアクションがありました。
これは僕にとって非常に勉強になった場面でして、
「何が手に入るのかを具体的にイメージして頂くことは、
受講意欲(購買意欲)をこんなにあっさり上げるんだなぁ」という生の体験でした。
これ、単に知識としては知っていたんです。
「コンテンツの中身を公開せずにモノを売る」というのはお客様に何が出てくるのか分からないガシャポンを買わせるようなものだと。
コンテンツを売っているのがレジェンド級のドライバーである(死ぬほど評判が良くて無条件に期待・信頼がある)とか、
「何が手に入るかが不明と言うこと自体がお楽しみである」、「何が手に入るか分からないけど、その中に"強烈な当たり商品"が含まれる」みたいなという場合を除いて、
価格に見合う対価に納得してから物を買いますよね。
何が手に入るか分からないのにお金は出せないというのが普通のお客様なんです。
クルマで考えれば簡単ですが、
「300万円払えば、何らかのその価格帯の車が手に入ります。車種は秘密ですが、良いクルマですよ」
って言われても絶対買わないですよね。(笑)
そうならないように、SHIFT UPはHPでベーシック講習の無料コンテンツだったり、
このブログのレポートだったりとかでレッスンの中身を想像してもらえるような情報を公開・提供しているわけです。
なるべくお客様から見たギャンブル性、、、つまりハズレを引くリスクを下げるためですね。
そんな状況から逆を言うと、すでにアドバンスド講習を受けて下さった6名の方は実は相当凄い。
何が手に入るのかという確信がないのに、受講料を投資して自分の成長に期待したということなので。
(これ僕が言ってるわけではなくて、客観的にそういう状況です。)
やっぱり最速で伸びていくのはこういう方々!
実際、6名の受講生の方々を見ていてそう感じました。
良く考えてみてもらえば分かることですが、
「絶対に全員が上手くなる講習」なんてどこにもあるはずもなくて、
最終的には受けてみて自分に合うかどうかを一度体験してみるしかないんですよね。
その一回目の体験を手にする決断が早い人は
"アタリを引いて採り入れる"のも"ハズレと判断して選択肢から除外する"のも早く、
そのスピード感の差が成長スピードの差になるのです。
受講して下さった方はSHIFT UPを高く評価して下さっていますが、
「お客様側の質が高い」状態でもあるんですよね。相乗効果なんです。
脱線してしまいすみません、本題へ行きますね。
これ、面白かったので書きたかったんです。(笑)
①コースイン前レッスン
レッスン内容はブレーキングと言うことにしましたので、
コースイン前レッスンではブレーキングのアドバイスから始めました。
走る、曲がる、止まるがクルマの走行の基本であると良く言われますが、
スポーツ走行では「止まる」が最重要だと僕は思います。(※"走る"を"加速"と解釈します)
なぜなら、走りのリズムを作るのは何と言ってもコーナリングをスムーズにこなすことであり、コーナリングの入り口はブレーキングから始まるためです。
ということは、ブレーキングが安定しないとそこから先はすべての操作が安定しないと言っても過言ではありません。
そんな非常に重要な「ブレーキング」という運転操作、
これは初心者には「ブレーキを蹴飛ばす様に踏め」だとか「ABSをきちんと作動させろ」なんて教えたりする例もあるようですが、
僕の考えとしては、ブレーキングは決してラフなものではなく、むしろ緻密なものですからSHIFT UPは初心者でもそういう教え方はしません。
コースイン前レッスンを振り返っていきましょう。
ブレーキングのレッスンは3/13にY様に向けても実施したのですが、
まずはブレーキングが大きく二つに分かれる話から。
2つとは、
・ショートブレーキング(低速から短い距離を止める)
・ロングブレーキング(高速から長い距離を止める)
の2つです。
この2つのキーワードから始め、
ばらつきの話をしていきます。
ブレーキングの終了地点がばらつけば、コーナーへのターンインのアプローチも必然的にばらつき、そこから先の加速もばらつきます。
すると、走り全体がばらついてしまうことになります。
ばらつくということは、何か走り方を変えてみるなどの試行錯誤しみてもその効果が正しく表れてこないですから、
何をやってみてもイマイチ燃え切らない感じになってしまいます。
ブレーキングを安定させることはスポーツドライビングを充実させるための第一歩であると言えるでしょうね。
と言うわけで、ぜひとも安定させたいブレーキング。
ばらつきやすいのはロングブレーキングです。
人の操作はもともとある程度の誤差を持っているものですが、
ロングブレーキングの場合は出ている車速が高いため、ブレーキ開始の地点が少しずれてしまうだけでその間に車が走る距離の誤差が大きく、減速終了地点がばらつきやすいわけですね。
ロングブレーキングを安定させるコツは、ブレーキング開始の目印を作ること。
1コーナーであれば40Rレイアウトを塞ぐためにおいてあるパイロンであるとか、ホワイトラインの折れはじめであるとか、コース外側のタイヤバリアの切れ目など、
走っていてタイミングを取りやすい何かを見つけて利用します。
(もちろん、ドライとウェットでは適正な目印は変わりますから注意してくださいね。)
この時、ポイントとしては「動かないもの」を目印にするとベターです。
例えば、コース上に出来ているちょうどいい"影"があったとして、
それを目印にブレーキングをすれば完璧なブレーキングが出来たとしても、
"影"は日差しの変化で動きますから次走るときにまた同じところにあるとは限りませんよね。
「動いてしまうもの」は目印にしにくいのです。
そういう意味ではパイロンは動いてしまいますからあまり目印には適さないのかもしれません。
もしパイロンを目印にするのであれば、「人や車で触ってしまえば動きうる」ということに気を付けておく必要はありますね。
パイロンと言うのはこれですね。↓↓↓↓↓
僕は自分の車だとパイロンの位置くらいが大体丁度いいタイミングですから、
なんだかんだでパイロンを目印にしています。
ここのパイロンは40Rというコースによっておおよそ同じ位置には居てくれるため、そんなにめちゃくちゃズレることはない。
念のためにコースイン前にパイロンの位置を見て
「大体いつも通りの配置に居るな」と確認した上で使っています。
理論と言うのは「まずは正しく知る」までは大事ですが、
それをどこまでストイックに突き詰めるか?
多少アレンジするか?などは趣味の世界では自由度があるものだと思いますから、心地いい程度に使えばいいと思うんですよね。
もし、理屈通りに完璧でないと気持ち悪い人はこの辺を目印にするといいかもしれません。
(40Rの切れ目始まり、終わり、外側縁石始まり、ホワイトライン曲がり始め)
もちろん車によって、どの目印を使ってもピッタリと合うとは限らないですから、
少し余るポイントの目印から頭の中で1カウント数えるとか、
自分の車に合わせた補正は必要です。
なお、タイヤやブレーキパッドが変わると同じポイントからブレーキングしてもどこまでに減速を終えられるかは結構変わってしまいます。
また、路面コンディションも「路面温度が低すぎて」とか「砂埃が浮いていて」とかいった不確定な要素があるため、
どれだけ完璧に位置を決めていても最初の走行できちんと様子見するのが大事です。
逆にショートブレーキングのほうは目印は使わず、
コーナーの縁石だとか、自分がアプローチしていく地点を直接見て視覚的に距離を測ります。
難しいと言えば難しいのですが、
車速が出ていないためばらつきにくいという点もありますし、
車速が出ていないということは直前で加速開始したところからの時間が僅かですから、自然と走るリズムとして体が覚えるなんて言うこともあって結構十分な精度が得られます。
ブレーキタイミングの説明を終えると、Iさんから
「ブレーキはフルブレーキングですか?
つまり、「ドン!」というブレーキングですか?」
とご質問が返ってきます。
フルブレーキングはフルブレーキングなのですが、踏み方は「ドン!」ではありません。
本当に一瞬の話ですが、軽く与圧をかけてからグッと踏み増すイメージです。
そうしたい理由は何かと言うと、クルマは加速中はリヤタイヤに荷重が乗っています。
逆にフロントタイヤは荷重が抜けていますよね。
普通ブレーキはフロント側が強いため、この荷重バランスのまま一気に100%までブレーキを踏んでしまうとフロントのグリップ限界が低く、
前輪がロックしてしまうんですよね。
荷重をフロントに戻しながら、丁寧にブレーキングしていきます。
こういう操作をすると、フロントタイヤのロック限界が変わり、制動距離も変わってきます。
絵にしてみました。
加速姿勢のままフルブレーキングしたら、
フロントタイヤがあっさりロックしてしまいますよね。
難しさは「ダラダラと空走するわけではない」と言うところでしょうか。
「どのくらいの時間か?」と悩む感じではなく、
ほんの一瞬だけタメを作れば良いかなと思います。
分かりやすく試すには、フル加速状態からドン!と踏んだ時と、
アクセルOFF状態(車速は同じ)でドン!と踏んだ時でフィーリングを比較してみると良いと思います。
それであまり変わらないようであれば今の踏み方で大体悪くないということでしょうし、
明らかに変わるのであれば「今は急激に踏み込み過ぎているよ」ということになります。
サーキットで試す場合は、必ず後ろをよく見て、
いつものブレーキングポイント付近で試してくださいね!
さらに質問もう一点。
コースイン前レッスンは10分ありますので、結構いろいろな質問が出来ます。
今度の質問は、
「進入でブレーキは残すか、完全にOFFか?」
これは車やコーナーによりますが、
例えば美浜の1コーナーやヘアピンで考えると基本的には少し残すかなと思います。
やはり、フロントタイヤにきちんと荷重が乗った状態でターンインすることで、大きな横グリップを発生させたいからですね。
「ブレーキを残す/残さない」はいろんな議論がありますが、
基本的にはあれは1か0かの話はしておらず、程度問題なんですよね。
多く残すのか、少なく残すのか。
また、長く残すのか、短く残すのか。
「残さない」と言っても0%ではないですし、残すと言っても100%ではない。
「タイヤのグリップがもっとも発揮されるように、ちょうどいいところを探す」を色んな言い方をしているだけなんですよね。
ちなみに車によって残さないというのは、
ターンインまで残しているとリヤが流れてしまう車。
僕はこういう車は正直苦手なのですが、好んで乗られる方も見えます。
こういう場合はブレーキを緩めてリヤタイヤに荷重を戻した方がステアリングを思い切って切れる分良く曲がるということも有ります。
僕はチューニングの思想として、ある特定コースに特化した車(特に美浜サーキットのようなタイトコーナーの攻略に特化した車)はある意味一般道での危険回避性能が落ちてしまうことがあるので、
どちらかと言えばリヤをきちんとグリップさせ、
その高いスタビリティを拠り所にフロント荷重でターンインしていくクルマのほうが好き。
雨の高速道路でリヤがズルズルだったりすると怖いですからね。
また、コーナーによってというのは「高速コーナー」か「低速コーナー」かという観点が例えばあります。
鈴鹿サーキットの1コーナーなんかでは、きちんとリヤ荷重が乗っていないと怖くてステアリングが切れないですから、ブレーキが残っていてはだめです。
加速しながら進入していきます。
また、鈴鹿のS字なんかはブレーキで失速させてしまうとグダグダですから、
ターンインのきっかけで少しブレーキ(フルではない)を使う程度で、
感覚はどちらかと言えばノーブレーキに近い感覚です。
鈴鹿のコーナーで明確に前荷重なのはヘアピンとシケインくらいで、
あとはアクセルONで曲がっていくような感じです。
参考動画を貼っておきますので良ければご覧ください。
この車載はGT300で走っている安田裕信プロにも「非常に乗れてる」とお墨付きを頂いており、
結構手応えのある車載です。
ただ、スプーンコーナーは突っ込み過ぎて恥ずかしいので見てはいけません。
ヘアピン立ち上がりでロスした分を取り戻そうと欲を出した結果です。(笑)
こういうのを見ると「突っ込み過ぎ」って本当にロスだらけなんだなと分かりますね。
話を戻して「ブレーキを少し残してターンイン」ですが、
これはブレーキとステアリングの切れ角をを連動させるように操作するのが基本です。
「ブレーキはブレーキで残す、ステアリングはステアリングで探りながら切る」ではなくて、
ステアリングを切った分だけブレーキを戻す。
「ステアリングとブレーキが紐でつながっていて、絶対一緒にしか動かない」
「ステアリングを切ったらその分勝手にブレーキが戻ってしまう」
みたいな感覚で操作していくと、タイトコーナーのターンインは上手く行きます。
この説明にはIさんも大きく頷かれていました。
実はアクセルも同じで、基本的にはアクセルを踏んだら踏んだ分だけステアリングを戻すようなイメージです。
こちらはステアリングが(僅かに)残ったままアクセルはもう全開と言う場面もありますから、厳密には少し違いますけどね。
他にはBSEのブレーキングポイントの話をしました。
99%の初心者が突っ込み過ぎてしまうBSEですね。(笑)
1コーナーで使う強いブレーキとは少し意識を変えた、
優しいブレーキでアプローチすることを説明しました。
この説明に対し、Iさんは「ここはガン!と踏んじゃうんですよね~」とリアクション。
長いストレートを加速してきて、そこにやってくるコーナーなので、
心理的には「強くブレーキングしなきゃ!」となりがちですよね。
そんな感じでいざコースインといきたいのですが、
走行は約10分しかないのでもう少し攻め方の作戦会議。
まずはウォームアップで最初に解説したライン取りの復習。
ゆっくり走る周回を無駄なく使います。
ウォームアップが出来たらブレーキの練習を開始。
まずはロングブレーキングでタイミングをきちんと測るところからですね。
パイロンの位置を目印にブレーキングしてみて、
ブレーキが余るのか、足りないのかを把握するところから行こうと決めました。
コースインしてからどう走ろうか考えるのではなくて、
コースイン前に作戦を立てておくのが周回・時間を無駄にしないコツですね。
こういうところは僕の本職である自動車開発の世界もそうで、
例えばテストコースでデータを取りながら試験車を走らせたりするのですが、
テストコースによってはいつでも自由に走れるわけではなく、
走行予約時間が限られています。その中で自分が行いたい評価を完遂しなければいけません。
そういう場合はコースイン前に終わらせるべき準備は終わらせておいたかどうかで取れてくるデータの質が違うのです。
趣味で行うサーキット走行も、お金を払い、「ある時間枠の中で走行する」という権利を購入して走るわけですから、これと同じであるように思います。
何となくこんな文章で見てしまうと煩わしく感じるかもしれませんが、
ここは案外、日々きちんとやると面白みがあるところですから拘ってみることをおすすめします。
②実走レッスン
ここからはいよいよコース内での実走レッスン。
ホワイトラインを跨がないようにコースインしていきます。
コースオープン直後は皆が整列して入るため、後ろから車が来ることは基本ありえないのですが、
それでもきちんとした手順でコースインするのがスマートですよね。
コースイン前に決めた通り、最初はウォームアップ走行をしながら走行ラインの確認をしていきます。
1コーナー立ち上がりの外側縁石をきちんと使ってヘアピンへのアプローチを組み立てるとか、フェニックスコーナーはすでに膨らみ過ぎているとか、
車速が低く、考えやすい状態でアドバイスを送っていきました。
クルマがBSEに到達すると「優しいブレーキ」が必要でした。
BSE内側の縁石は高さがあるので、乗せないほうがタイヤのグリップが安定します。
コース幅が広くて迷ってしまいがちな定常円へのアプローチラインは
コース図でこのように説明してもいざコースに入って運転席から見ると非常に分かりにくいもの。
同乗でステアリングを切り始めるポイントをアドバイスしていきます。
ここは一度きちんと走れるとそこからはもうわかるのですが、
理想的な走行ラインを走ったことがないと、頭では分かっていてもなかなか理想通りに走れないみたいです。難関ですね。(笑)
ラインの確認が出来たところで、改めてウォームアップ走行を開始。
まだまだきちんと車が温まっていないですから、
クルマのポテンシャルを引き出すとともに、クルマを事故や故障から守るためにきちんと温めていきます。
教わった走行ラインをきちんとトレースするように意識して下さっているIさんですが、
1ヘアにアプローチするイン側縁石を攻めすぎて、タイヤが縁石から落ちています。(笑)
特にタイヤの側面を当てるというのはNGで、トレッドと比較して弱いサイドウォールが破れてタイヤがバーストしてしまったり、ホイールが歪んでパンクしてしまったりします。
また、アライメントが狂ってしまう原因にもなりますよね。
アライメントが狂ってしまうとタイヤが偏摩耗してしまうばかりではなく、
クルマが真っすぐ走らなくなったり、右旋回と左旋回で手応えが変わったりと気持ち悪いことになりますから、
「ドン」とか「ダン」とかいう衝撃は与えないほうがベターですね。
アライメントに関しては、もし最近取っていないようであれば、一度どこかでアライメントを調整するのも良いと思います。
SHIFT UPはアライメント調整値の相談にも乗れますよ。
正解を教えるのではなく、正解を見つける手順を教えます。
どんな感じかと言うと、トーを○○°にしてキャンバーを○○°にせよ!とかではなく、
シンプルな値でまずアライメントを合わせて、車が素性として持っている特性を把握せよ!と言う感じで教えます。
そこで見つけた素性を自分の理想とした挙動に繋げていくために、
じゃあバネをどういう諸元にしていこうかとか、アライメントをどうチューニングしていこうかとか、そういう進め方ですね。
僕はエンジニアですから、誰かがこれが良いと言っていたからそれと同じにする!ではなくて、自分の車の素性を押さえながら、自分の車に合わせた最適な調整を施すという思想なんです。
真似した誰かと脚が違うとか、LSDが違うとか、求めている挙動が違うとかだとアライメントを真似してもそれが必ずしも良いクルマにしてくれるかというとNOなんですよね。
ちなみに僕の愛車のアライメントを聞いたら、
「そんなにシンプルなの!?」っていう状態になっていますよ。
勿体ぶらず、言っちゃおうかなぁ。。。
前後トーゼロ※。前後キャンバー3°。キャスターは弄らず純正なりゆきです。
リヤトーだけは制動負荷が入った時に「動的にトーアウト化」すると嫌ですから、僅かにイン側につけています。
どこの諸元を固定にして、どこの諸元で弄るかを決めてアプローチするため、
「あっちもこっちも弄り倒して滅茶苦茶にする」ということはしない。
その結果、僕の場合はアライメントはシンプルなものにしてあります。
そのほうが偏摩耗の悩みも無いですし、クセのある動き(ドライバーの予想を裏切る動き)もしにくい車になるんです。
じゃあどこでステア特性を作っているの?と言うと、
前後のバネレートのバランスとLSDの効かせ方、それからトレッドですね。
マニアックなところで言うとロールセンター変更もしました。
減衰は圧側の調整機構をもったものを使ってはいますが、
基本的にあまり弄らずに同じようなところを使っています。
(ダイヤルを回して調整というよりは、ダンパーの減衰力特性そのものをオーバーホールごとに調整・変更して今の姿にしているという感じですね。)
うん、Iさんのレポートから脱線していくのでこの話はやめましょう。(笑)
レッスンの話に戻します。
同乗で見ていると本当にいろんなことが分かり、
それらに対して「自分自身で気づいてもらうお手伝い」 が出来ます。
例えばBSEですが、「優しくブレーキ」とあれだけ意識付けしても、
Iさんのブレーキはまだまだ奥まで突っ込み過ぎです。
奥まで突っ込み過ぎて、クルマを無理やり曲げようとしている感じがするのです。
クルマは物理的限界以上には言うことを聞きませんから、
無理やり曲げようとするのではなくて、曲がるための姿勢や負荷のコントロールをする必要があるんですよね。
そういうコントロールが出来ていないと、横に乗っていたり、外から見たりしていると「車が苦しそうに走っているな」なんて思うわけです。
このレッスンでそこを少しでも変えていきます。
ここで軸になるのはやはり「ブレーキング」。
良いテーマ選択だったように思います。
そんな観察を一通り終えて、走行ペースを上げていきます。
簡単なライン取りのアドバイスを送りながらまず一周。
1コーナーからヘアピンは良い感じ。
フェニックスコーナーへのアプローチはステアリングを切り遅れていますので、速めに左に舵を入れ始めるようにアドバイスしました。
フェニックスコーナーは進入でラインを外してインに着けなくなってしまうと、
大抵そこから先ずっと外れ続けますからコーナー出口で立ち上がりも狭くなり、
その影響はBSEのブレーキングまで残ります。
ラップタイム上、一瞬の遅れで滅茶苦茶損するということですね。
そして難関の定常円ですが、ここもインに付くタイミングを指示。
これは同乗走行開始直後の状態ですが、インに全くつけていません。
定常円から先が長いストレートならここからインに切り込み
直線的に加速するというシナリオも考えられますが、
定常円の先はすぐに次のコーナー。
ここでボトムスピードを稼ぐうまみはあまりありませんから
イン側をきちんと締めてコンパクトに走りたいところです。
なおこの写真はIさんご本人から動画で頂いたものをキャプチャしものです。
ご友人が撮影してくださったそうで、
「外から見ていてどんどん良くなっていた」と終了後に言われましたね。
僕がIさんへ、定常円コーナーへのステアリング操作開始地点を指示すると、
Iさんは「え?もうここから?」とリアクションされました。
初心者と上級者ではこんな言葉が出てしまうほど、コーナーへのアプローチが違うんです。
格好良く言うと、「走りのリズムが違う」みたいな言い回しになるでしょうか。
指示の通りに走っていただくと「あ、曲がる曲がる!♪」と手ごたえに気づかれたご様子です。
なぜ曲がるかというと、
ステアリングを早く切り始めていますから車はそこからロールを始めます。
コーナーに入ったところできちんとロールが収束していますから、
コーナーでステアリングを切り増した時に、操作通りに車が反応するのです。
「ん?」となった方はひとつ前のレポートを参照。
抜粋しておきますね。
################################
クルマはステアリングを切れば曲がるわけではない。というイメージを持つ必要があります。
ステアリングを切ることによってまずタイヤが変形し、横力を発生しますね。するとブッシュやガタなどの動く部分が動き、シャシーが変形し、力がボディ全体に伝わって初めてボディ全体が向きを変えます。
ということは、曲げたいポイントまでにきちんと姿勢変化を収束させなければならない。
################################
バネレートの低い車は姿勢変化が大きく、
姿勢変化のスピードも遅いですから、その分前持った操作が必要です。
初心者は人の車載を見て学ぶということをやっていらっしゃる方も多く見えると思いますが、
その車載の車がどんな車なのかをよく考えないと、
操作を与えるべきタイミングが全然違ったりするんですよね。
「ブレーキ~」とか「インベタ~」とか「外一杯~」声をかけながらしばらく走ると、「なるほど、スムーズに行けてる気がする!」
とIさんがだんだんノッてきます(笑)
ところどころクーリングを挟んで、丁寧に走りをチェックしていきます。
テーマにしていた1コーナーへのブレーキングはあまりくどくど言うまでもなく、綺麗に安定していました。ここは素晴らしい!
ダウンシフトも滑らかに決まっていて、僕も助手席で快音に浸ります。
フェニックスコーナーは少しステアリングが足りていない感じがあったので、
もっとイン側に切り込むようにアドバイス。
BSEは最後の最後まで結構苦戦しました。
「優しいブレーキング」ですね。
下りで止まりにくいBSEで、ステアリング操作までにきちんと車速を落とし、
かつ前荷重を適度に残してフロントタイヤをきちんと食わせるためには
優しいブレーキングが好循環の元。
「優しく、優しく」と何度も言っていくと、
徐々にロードスターRFがBSEコーナーをスムーズに走るようになっていきます。
クルマの頭がきちんとコーナー脱出方向を向いている感じがして、
乗っていても安心感が出てきました。
走り回っていくと徐々に前後が渋滞してきましたので、
少し車間を調整。
速い車は前に行かせ、自分はあえてゆっくり走って
進路を広く確保します。
(この時、こういうアドバイスを送るとクルマを止めてしまう人もたまにいますが、
完全に停車してしまうと赤旗が出ますので、スロー走行程度にしておきましょうね。)
進路が開いたらまたレッスン開始。
頭では分かっていても実際できていないことを程よく指摘して、
少しずつ理解と実操作のギャップを埋めていきます。ブラッシュアップの時間です。
「フェニックスでしっかりインを締める」の徹底、
「リヤが滑ったらアクセルは半開でステアリングを少し戻す」(ちょうどそこがFR車として美味しいところ)。
「BSEコーナーイン側の縁石」はタッチする程度にして乗らない。
「定常円入り口の縁石」は踏んでしまいましょう。
などなど・・・。
「コースが少し広く感じてきた」とIさん。
コース幅をきちんと使い、各コーナーでインをきちんと締めていくと得られる感覚です。
「切りすぎるとダメだ」と思っていたステアリングは、
旋回姿勢がきちんと収束した状態であれば「切ればもっと曲がった」というゾーンがありましたよね。
ここで走行レッスンが終了。
大分、色々な収穫があったことと思います。
走行後のフィードバックに行く前に、
ここでBSEの先、定常円コーナーへのターンインのBefore/Afterをを見てみましょう。
Iさんから外撮りを頂きました。
こちらがレッスン開始直後。
外側から大回りでアプローチし、、、
クリップに着けずにイン側がガバガバに空いていましたが、、、
レッスン終盤はこの通り。
本当、見違えるようですよね!
厳しく言えばまだ詰め切れてはいませんが、
大きなジャンプアップだと思います。
この流れを作ったのは何か?実はBSEへのブレーキングです。
BSE立ち上がりで車がきちんと曲がり切っているため、
そこから定常円へのアプローチが遅れない。
適切なタイミングでブレーキングとステアリングを開始できるようになったためにインに側に付くことが出来たんです。
では最後にフィードバック・振り返りです。
③走行後のフィードバック
走行時間が終わってパドックに帰還。
無事、事故・トラブルなく実走レッスンを終えました。
走り終わった直後の感触が消えないうちに、振り返りをしていきます。
まずは最後の最後まで苦労したBSEから定常円のところ。
定常円は回り込んでいるためタイトコーナーに見え、
どうしてもアウトからアプローチしたくなっていたということでしたが、
ここは読んで字のごとく定常円で、180°以上回り込んでいるためアウトからアプローチしても結局回り込んでいます。
ですので車両の姿勢をきちんとつくってコンパクトに曲がっていくのが良い走り方です。
ピットに向かうインラップでは、ステアリングに手を添える形で少しだけアシストして、
どのように走るのかを最後に強くイメージ付けしました。
勢いよくインを締めに行くわけではないんですが、
微弱な横Gをかけながら定常円へ向かって行くイメージですね。
1コーナーへのブレーキングはばっちり。特に言うことなしです!
この調子で磨き続けてください。
BSEは難しかったですね~。(笑)
BSEは旋回中に「おお~攻めてるぞ!」という感覚がなくなるくらいに優しく飛び込んで、
代わりに立ち上がりで速くアクセルを開けに行くと流れが良くなります。
体感して頂いて少し掴みかけたと思いますが、
BSEはフロントタイヤの余力をブレーキングで使い切ると曲がらないんですね。少し手前にブレーキングポイントを持ってきて、優しくブレーキングしましょう。
(とはいえ優しいを通り越して「甘い」まで行くとダメですから、色々探ってみてくださいね。)
こんな感じで講習が終了。
「凄く参考になりました!」
「次もレッスンはありますか?」
と、大変嬉しいお言葉を頂きました。
自分で言うよりもお客様の言葉が事実ですが、
まだお客様が少ないため自分で言います。
アドバンスド講習、リピート希望率がめちゃめちゃ高いです。
次は8/13に実施予定なんですが、
今回の反響を受けて受講希望者が増えた場合を考えて、
少し受付の仕方を変えるべきか?なんていうことも考え中ですので、
またブログをご確認くださいね。
ブログの更新通知はTwitterでしておりますが、
今SHIFT UPのLINEアカウントも開設準備中ですからまたご案内いたします。
Iさんはこの日最後の走行枠でレッスンを受けられましたので、
自己ベストタイムの更新は無かったのですが、
2人乗った状態にもかかわらずこの日の走行枠よりもアタックラップのアベレージが安定して短縮されています。
ここからは気温が上がり、エンジンパワーが出にくくなる季節ですから保証は出来ませんが、次回自己ベストを更新できる期待はあるのではないかと思います。
夏を過ぎて秋、冬になるとまず間違いなく50秒台前半までは現実的に狙えるでしょう。楽しみですね。
以上です。

コメントをお書きください
IMAKEN DASH (金曜日, 04 6月 2021 20:42)
どうも、受講生I ことIMAKEN DASH(YOUTUBEアカウント名)です
他の受講生のブログもしっかり読んできたので、自分の番になるのを楽しみに待っていました。
そして、期待以上の長大な文章で大満足です(笑
前置き短くと言いつつ、なかなか本題に入らないあたりが もう本当に好きです(^^)
しかも、今回は脱線ぶりもなかなか(^^;
でも脱線の内容も読みごたえ十分で 且つこれだけのボリュームで自分のレッスンを振り返ってもらえるなんて、これもう追加料金貰っていいレベルだと思いますよ(笑
自分は美浜サーキットを走るのは、以前に乗っていたBMアクセラの時も含めて5回目となるのですが、タイムを削ろうとYOUTUBEで速い人の走りを見たり毎回自分なりに考えて走っても結果が伴わずで 何が正しいのか分からない状態に陥っていました。
そんな中、朝のブリーフィングでレッスンの案内があり、藁にもすがる思いで申し込みをしました。
レッスン後の感想ですが、目からウロコとは まさにこのことですね~
自分なりにベストと考えていたライン取りやブレーキングポイントがことごとく覆されていく。
そして、それによって得られるグッドなフィーリングにビックリでした
ブレーキングを課題に挙げたのは、1コーナーを苦手に感じていたからなのですが、これはステアリングとブレーキが糸で繋がってることを意識するだけで劇的に改善しました。
意識した瞬間にコーナリングが安定したのです!
1コーナーはバッチリとの評価を頂けたのが、それまでの自分の走りから考えると本当に驚くべきことで、最高に嬉しいものでした。
反対に、これまで自分が『攻めてるな~』と悦に浸っていたBSEと それほど問題に感じていなかった定常円に 課題が有り有りだったことが知れたことも 大きな収穫でした。
どういう方向で改善すべきかを 実際のレッスン時に加え このブログでもしっかりと解説してくれているので、次回の走行で実践していくことが楽しみで仕方ありません。
サーキットを走り始めた頃に匹敵するほどのワクワク感をもたらして頂き 本当に感謝感激です。
次回も是非受講したいです!・・・と言いたいところですが 自分が味わったこの感覚をより多くの方に体験してもらいたい気持ちの方が今は大きいです。
なので、スパイシー走行会の枠ではない 個別レッスンなどの仕組みが出来上がったら、その時にまたお願いしたいと思います。
あ、自分のYOUTUBEチャンネルにも登場してもらえると嬉しいです(笑
SHIFT UP 村上 (土曜日, 05 6月 2021 09:04)
IMAKENさん、コメントありがとうございます!
色々と評価いただけるコメントがありますが「好き」というのも嬉しいものですね(^^)
受講生のレポートに運営側の頭の中の話を混ぜて見せてしまうというスタイルです。(笑)
追加料金、頂けちゃいますか(笑)
ではまたIMAKENさんが好きな"脱線ネタ"ですが、
SHIFT UPはあくまで「受講生さんのためになるようにお金を頂く」という思いがあるんです。
アドバンスド講習を有料にしているのは
①受講の競争率を下げ、上達意欲の高い人に対してプライオリティを確保するため
②「料金に見合う何かを絶対に学び獲ってやる」というように気持ちのスイッチを入れるため
③「有料講習を受けるくらいにドライビングが好きだ」という自覚・実績がカーライフのアクセントになるため
という狙いがあるんです。
ブログはここには効いてこないですから、今は無料にしています。
ただ、受講生がたくさんついて下さった場合にこの文量での提供は厳しいですし、
レッスンからレポートまで期間がかかりすぎるとそれも"待ち疲れ"しますから、
その時はどこかで説明を挟んで多少簡素化していくと思います。
また、レッスン自体に対するIMAKENさんのご感想を改めてお聞かせ頂きありがとうございます。
当日は車で気持ち良く走って盛り上がっているでしょうから、その勢いでポジティブな感想が出やすいと思います。
日を置いてもなおこのようにコメント頂けるのは僕にとって大変自信になります。
特に今は駆け出しも駆け出しですので、大分背中を押される気持ちです。
今後も独り占めするのが勿体ないと思われるようなレッスンを継続できるように頑張ります。
個別レッスンのサービス、なるべく早く企画しますね。
YOUTUBE良いですね!やりましょう!(笑)