今回も、アドバンスド講習の個別レポートをお送りします。
(最近平日も休日も忙しく、アップのペースが落ちてお待たせしていますが、
気長にお待ちいただければ幸いです。)
どうぞお楽しみください!
今回のレポートはF様。
5/22、8/13に続く3度目のリピート受講です。
ありがとうございます!
今回のFさんはアドバンスドAとアドバンスドB、両方の受講をご希望頂きました。
Fさんはもうとにかく「上達したい」という意欲が強い方で、
SHIFT UPの講習や色々な方のSHIFT UPカルテを利用してヒントを集めながら、
走行会以外でも走り込みを行い実際めきめきと上手くなっていらっしゃって驚きます。
5月に「まだまだ初心者の走り」をしていたFさん、
今回は中級者レベルの走りを見せて下さいました。
ひとまず今回はアドバンスドBのレポートをお送りします。
アドバンスド講習にはアドバンスドAというコースとアドバンスドBと言うコースがあり、「アドバンスドB」とはどんなコースかというと、
受講者さんがご自身の愛車を運転する方式ではなく、
講師の僕が、僕の愛車でデモンストレーション走行を行い、助手席で体感いただくというものです。
Fさんにはアドバンスド講習カルテを毎回記入して頂いているのですが、
Fさんの自己評価は「初心者+」。
美浜サーキットベストラップは
5/22 52.8秒
8/13 51.8秒
10/2 51.5秒
と着実に縮めてきています。
アドバンスドBはご自身の走行枠に拘らず、
どこでも受講可能です。
この日Fさんはオフィシャル走行枠でアドバンスドBを受講されました。
アドバンスドBの教習車はこのマークX。
見た目は普通ですが、抜群に仕上がったチューンドカー。
いわゆる「パーツてんこ盛り状態」ではなくて、
純粋に技術的に必要な箇所にだけ必要なものだけを投入した車です。
ドライバーの操作に対して非常に素直で懐の深い挙動を返します。
レッスンの趣旨とは少しずれますが、
良い挙動のクルマってどんな風に走ってくれるの?というのを見るにはこれ以上の車は無いと思います。
実はこのクルマを教習車として走らせるのは12月か、
延長したとしても1月のスパイシー走行会までにする予定。
興味のある方は是非12月までにアドバンスドBをご受講ください。
(ただし初めて受講される方へのお勧めはどちらかと言えば"アドバンスドA"です。
その理由は、僕がその方に何をお見せするとレッスンとして効果的なのかがまだ分からないためです。)
①コースイン前レッスン
アドバンスドBのレッスンでもコースイン前のレッスンがあります。
どんなデモ走行をするのか、その中で受講生は何に着目すべきなのか?
を会話してすり合わせていきます。
Fさんも「デモ走行でどこを見るべきかが分かっていない」と仰っていたのですが、
ただ漠然と乗っても案外何も盗めないのがデモ走行の同乗。
アドバンスドBは僕の頭の中を喋りながらデモ走行するので幾分か分かりやすいですが、
やはり何に注目するのかを定めることは有効です。
今日はテーマが「おまかせ」でしたので、
「ライン取り」から初めて、ブレーキングやステアリングにフォーカスしてデモ走行することにしました。
リピート受講の方だとつい近況をお聞かせ頂いたり雑談してしまったりするので、
コースイン前レッスンをもう少し本題に寄せたほうが良かったかもなぁ・・・
というのは僕の反省点でした。
②実走レッスン
コース内での実走レッスンの話に移ります。
コースに入ったらまずはウォームアップですが、
この日は直前にも走行しているためウォームアップは省略してレッスンを開始。
まずはどんな走行ラインで走っているかを実際に確認して頂きます。
目線は車の外に。
最初はアタックラインを敢えてゆっくりと走行しながら解説していきます。
このデモ走行では自分の普段のアタックラインと比較して頂き、
その普段のラインと僕の走行ラインが一致しているのか、
それとも全然違うのかを見て頂きます。
「敢えてゆっくりとラインを確認する」というのはやろうと思えばできるものの、
意外とやらないですし、やってもらう機会もなかなかないと思いますので
落ち着いて一度眺めてみるのは良い体験だと思います。
Youtubeの動画をスロー再生することでも疑似体験できますが、
やはりカメラ映像の限界と言うか、得られる情報は実走の方が圧倒的に多いんですよね。
コース幅をきちんと使いながらも、無駄に遠回りはしない。
イン側をとにかくきちんと締める。
これが美浜サーキットの走り方の基本です。
難しさは「無駄に遠回りをしない」ですが、
じゃあどこが遠回りを防ぐポイントなのかと言うと、、、
1コーナー:ミドル進入
フェニックス:進入で右に振らない
BSE:進入で左に振らない
定常円:BSE脱出から真っすぐイン側縁石へ
ここをまず押さえたいところですね。
いずれもコース図上で説明すると分かった感じになりますが、
いざ運転して見ると結構ムダが残る部分。
自分の思うラインと講師の運転ラインを見比べて、
違和感がなければ理想的で、違和感があれば収穫です。
例えばフェニックスですが、
赤ラインのようにアウト側へ振ってからインに行こうとすると遠回りです。
曲げ遅れて赤ラインのようになったり、
そこからアンダーを出して緑ラインのようになったりと言うのは
実は初心者の方ならあるあるパターンです。
赤も緑も頑張って攻めている感はあるのですが、
スムーズに走った青ラインと比べると無駄の多い走りです。
こういうのを実際に車内からの目線で体験することが有益なんですよね。
#ちなみにここは1ヘアへの飛び込みでブレーキングが間に合っていないと全てが後手に回ります
続いてステアリングに注目。
Fさんには前回ステアリングワークのレッスンを行いましたので、
その実演です。
ステアリングを切るスピードであったり持ち方であったりを見て頂きます。
手の甲は自分の方に向けて、ステアリングを横からではなくて正面から支えます。
掌の力は抜いて、薬指と小指に軽く力を込めて操舵。
SHIFT UPカルテでも何度も触れていますが、
"送り手側は持ち替えない"ことで、
ステアリングを切っていくときに反力を感じながら最適な舵角を見極めて切っていきます。
ステアリングを持ち替えると、ステアリングからの反力が
インフォメーションとして使えなくなってしまいますから、
もう当てずっぽうでステアリング操作しないといけません。
フロントタイヤがどのくらい食っているのか?が分からない状態で
ステアリング操作をしていてはタイヤの限界を引き出せませんので
「持ち替えない」は必要な操作方法なんです。
ただし両手とも持ち替えないように走ろうと思っても流石に舵角が足りませんから、
送り手のほうを保持するわけですね。
また特に脚回りが柔らかい車では、ステアリングを切り込む前に
あらかじめ僅かにその方向へステアリングを切っておいて、
そこから大きく切り込むとレスポンス良く曲がります。
逆に言えば、クルマはステアリングを切れば曲がるわけではない。というイメージを持つ必要があります。
ステアリングを切ることによってまずタイヤが変形し、横力を発生しますね。するとブッシュやガタなどの動く部分が動き、シャシーが変形し、力がボディ全体に伝わって初めてボディ全体が向きを変えます。
ということは、曲げたいポイントまでにきちんと姿勢変化を収束させなければならない。
そのために、あらかじめわずかにステアリングを切っておき、
旋回姿勢に収束させるまでの無駄を潰しておくのです。
#足回りの柔らかい車は姿勢変化が大きく、
#姿勢変化のスピードも遅いですから、その分前持った操作が必要
速くしていこうと思うと脚回りを固めることになるのは、
色々と目的がありますが、
この「姿勢変化の収束」に目を向けるとやはり姿勢変化が早く終わることが速さに寄与してきます。
速く走るということは一つ一つの操作の時間が圧縮されて行きますから、
その操作に車がついてこないといけないわけです。
なおここでは余談ですが、
脚周りを固める=バネレートだけアップすればOKではありません。
跳ねたり揺り返したりという感じに挙動の収まりが悪いとそれは「姿勢変化が収束が遅い」と同じです。
むしろ跳ねたり揺り返したりですと単に「反応が遅い」だけでなくて「車が暴れる」ようになるので、
修正舵まみれの走りになってしまいます。
そうなると速くはなるかもしれないませんが、気持ち良さは遠ざかりますよね。
「挙動の収束が速い脚」が良い脚です。
ここでIさんは車の挙動にコメント
「車の挙動が本当に良いですね。フロントがよく入る上に、
しかも体を中心に車が回転しているような感覚です」
「車が重いのは乗っていて分かる、それなのにスっと曲がっていく感じが凄い」
うちの車の脚のコンセプトとして、
「運転席の真後ろに回転中心があるかのようなフィーリング」
を追求しているんですよね。
そのフィーリングは車の操縦性を高めるだけでなく、
振り回しているときの安心感につながります。
特に国際サーキットを走るときは「怖くない」と言うのは明確に"性能"ですから、かなり大切なことです。
Fさんには今週、こちらの体験に来ていただくので、
その時に詳しく種明かしできると思います。
しかしこのフィーリングって結構マニアックな世界だと思うのですが、
わずか10分程度の同乗で気づくとはめちゃくちゃ鋭いです!
スポーツドライビングって運転のテクニックも重要なのですが、
車の出来栄えを感じる技術も重要です。
「自分の車はどのくらい、自分の意のままに走っているのか?」
こんなことが感じ取れるようになれば、チューニングも捗りますよね。
最後にブレーキング。
突っ込み過ぎになりがちなBSEで敢えてNG例をお見せするところから初めて、
スローインファストアウトのデモを行いました。
ステアリング操作が適切であれば、ステアリングからの手応えでタイヤが食っているか食っていないかが分かります。
ステアリングを切った分だけステアリングに反力が増していき、
その反力通りに車の向きが変わっていきます。
突っ込み過ぎるとフロントタイヤが逃げていくため、
ステアリングからの反力が曖昧になり、切り増しても手応えがなくなります。
「どこからが突っ込み過ぎなのか」
は非常に難しいテーマなのですが、
ターンインの感触、ブレーキを離せるタイミング、
立ち上がりでアクセルを踏めるタイミングから総合的に探っていくことが必要です。
僕の場合は「立ち上がり(アクセル)で頑張る」ことを推奨しています。
その意識がスローインファストアウトを定着させてくれますので、
そこが出来てからブレーキングを詰めていった方が答えが見つかりやすいからです。
このデモ走行でも「アクセルで頑張る」と繰り返し唱えながら走りました。
Fさんは「僕、まだ"突っ込んでる"な~」とコメントされていました。
根本的に、もともとのスタート地点が突っ込み過ぎな場合、
自分では直したつもりでもまだ突っ込み過ぎの域から出ていないことが良くあります。
一度でも誰かと比較すると、とても参考になると思います。
Fさんの場合は、アドバンスドAでコメントしましたが運転操作に
再現性がついてきていますから、「どこまで試すと良いか」さえわかればご自身で正解探しも可能です。
「自分の走りをどこまで振ってみるか」を適切に広げることで
ドライビングは確実に正解に向かって行きます。
以上、色々な体験をしていただいたデモ走行レッスンでした。
③走行後の解説・質疑応答
色々と考えを巡らせながらデモ走行を楽しまれたFさん。
Fさんと振り返りを行いました。
まずライン取りは今までのレッスンで聞いたイメージ通りで、
今の自分の走りとおよそ一致していたとのこと。
基本的な走行ラインのイメージは一致しているようです。
最終コーナーの立ち上がりが最適イメージにたどり着いておらず、
もっとアドバイスが欲しいとのこと。
定常円から脱出して、ブレーキングして曲がるタイミングと曲がり方が
S660だとそのあとの上り坂が辛いということもあって悩まれているということです。
なるべく回転数を高めたいものの、今はオープンデフなので頑張ると空転してしまうというジレンマになっているようです。
この同乗ではFさんのイメージよりも曲げるポイントを奥に取っている
と感じたようです。
ここは今後一緒に分析していきましょうか。
「最終コーナーの最適解探し」ですね。
その他、箇条書きですが
・講師運転は「タイヤに無理をさせていない(フロントを鳴かせない)」と感じた
・フェニックスは、まだまだ我慢できずにアクセルを踏んでしまっている
・BSEはまだ突っ込んでいた&ブレーキの踏み方もドカ踏み
・全体的に、自分のイメージと実際の走りを比較出来て良かった
こんな振り返りでした。
この中でも特にブレーキについて、
ブレーキってやっぱり「ガツンと踏むのがコツ」と最初は教わるんですが、
それは全然踏めない人へのエントリーレクチャー。
本当はフロントに荷重が移動するのに合わせてペダルを"押し込んでいく"イメージなんですよね。
ステアリングも、ブレーキも、「"ガッ"ていうより、"グッ"」というイメージでしょうか(笑)
#分かるけど分からん(笑)
こんな感じでレッスンが終了。
Fさんはこの後さらにアドバンスドA講習も受講して下さったので、
追ってもう一つレポートをアップします。
間に別の受講者さんのレポートを挟みますが、締めはそちらで!
ひとまずこのレポートは以上です!

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Fことブルベ番長(みんカラネーム) (土曜日, 16 10月 2021 20:23)
アドバンスドB講習受けましたFことブルベ番長です。
本日のデッキマークX試乗含め、色々ありがとうございました。
今回アドバンスドBを受けた目的は二点ありました。
一つは、今まで受けた講習を元に自分なりに理解した走り方&美浜攻略の基準にどの程度認識ズレかあるか講師の走り方と比較したかったこと。
二つ目は完成された足まわりと豪語されているデッキマークXの実力とやら(笑)を身を持って体験したかったことです。(S660の足まわりとの違い含め)
今日の自身でのマークX試乗とS660チューニングアドバイスを含め、目的に対して十分リターンを得られました。
「ええぃデッキのマークXは化け物か!?」とまでは言いませんが(笑)、この足は衝撃的でした。
また今日はS660について色々ショックな話含めディープな内容盛り沢山でした。(昼飯時間除いても5時間ものイベントになるとは思いませんでした)
S660について、自分でも究極のおもちゃ車であるが、突き詰めていくと矛盾にぶち当たる車、そしてそこを含め惚れてしまったら仕方ない、痘痕も靨な車と思っています。
そんな車とサーキットでどう折り合いをつけていくか、も含め楽しみたいと思っていますので、今後とも色々よろしくお願いいたします。
SHIFT UP 村上 (日曜日, 17 10月 2021 08:29)
ブルベ番長さん、コメントありがとうございます。
昨日のマークX試乗企画もご参加ありがとうございました!
マークXの足回りは化け物どころか、"極めて普通"でしたよね(笑)
極めて普通なのに、スポーツ走行まで何の苦しさも感じさせずに応えてくれるというのが
マルチユースできるスポーツカーとして一つの「完成」の姿だと考えています。
「普段使いは出来ないけどずば抜けて速い」という姿も一つの完成系ですが、
競技で勝ち負けを競うのでなければ「普段使い出来て、ちょっと驚くくらいに速い」のほうが満足度の高い車になると考え、そこを目指した車です。
S660の話もあれこれディープに掘ることが出来て良かったです。
"事実"を知ることはポジティブでもネガティブでもなく、純粋に"事実"として捉え、
その事実に対してどうアプローチするかが選択であり、楽しみ方ですよね。
間違いなく楽しい車だと思いますから、事実に対して理にかなったアプローチを重ねていくと"痘痕も靨"と笑って乗れると思います。