12/4のアドバンスド講習の個別レポートをお送りします。
アドバンスド講習は、受講生ひとりひとりに対して個別にレポートを書いて提供します。
この個別レポートで振り返りができたり、次回走るときに再度思い出せたりするようになっています。
ご自身のカテゴリを遡って成長履歴を見るもよし、
次回の走行の作戦建てに使うも良しです。どうぞお楽しみください!
今回のレポートはF様。車はS660です。
Fさんは5/22に初めてSHIFT UPのレッスンを受講されて、
8/13, 10/2, 11/6とレッスンを定期的に受講。
今回が5回目のレッスンです。
レッスン日以外も精力的に自主練に励んでおられて、
美浜サーキットの自己ベストは第1回のレッスン前の52.8秒から
50.8秒まで短縮しました。
クルマの仕様を大きく変更したとかはなくて殆ど"腕"でラップタイムの短縮を果たされたFさんのドライビングは5月とは完全に別人で、
当時の運転と今の運転を比べると車を操る手応えも楽しさも別次元だと思います。
僕はラップタイムが何秒だとかは"結果"であって、
競技の場でない限りそれは何秒でも良いと思っています。
どちらかというと、「スポーツドライビング」という言葉を掲げて自分の車に乗り込み、
愛車の性能をきちんと発揮させて楽しめているという手応えが増すことが良いことだと捉えています。
そういう意味で、Fさんの運転がガラッと変わったことはSHIFT UPのポリシーを真っ先に体現して下さったレッスン生はFさんだなぁと感じます。
①レッスン要約
まずはレッスンの要約を掲載します。
サーバー容量の関係上、公開は1年とします。
必要に応じて各自でダウンロードお願いします。
続けて、今回のポイントを振り返ります。
ちなみにFさんは今回走行後のフィードバックをスケジュール上省いたため、
レッスン要約内ではフィードバックを省いています。
代わりにこのブログ上で手厚く振り返ることにします。
着目① 距離重視ラインはどこが最適か?
自分の中で一つのライン取りをベースとして定着させたFさんは、
自分のS660にとっての最適ラインを模索中。
車両特性を考慮して、美浜サーキットを最も速く周回するにはどんなラインが良いのかを模索しています。
初心者の方はよく「どういう走行ラインが正解か」ということを気にされるのですが、
走行ラインの正解は実は誰にも分らなくて、
「このラインは絶対にありえない」という不正解ラインはあるものの、
「このラインが最適」という正解ラインは個々に探す必要があるんです。
まず大きく変えたのはここ。
フェニックスコーナーの立ち上がりで、「アウト側に膨らませない」
という走り方です。
今まで練習してきたラインは青色のラインで、アウト側をいっぱい使いながらアクセルを開けていきます。
今回距離重視として試したのは緑色のライン。
コース全体図で見ると、青色よりも距離が詰まっていることが見て取れますね。
これは立ち上がりは少し窮屈になるけれど、次のブレーキングポイントまでの距離が短くなるよねというラインです。
それからこちら。
こちらも青色がレッスンの基準ラインで、
緑が実験されていた距離重視のラインです。
いずれも立ち上がりをコンパクトにするというラインですね。
立ち上がりから次のブレーキングポイントまでの区間において、
ブレーキングの直前にエンジン回転数が吹け切ってしまい、シフト操作が忙しくなる場合の微調整という効能も期待できます。
2事例目の方はFさんのS660にとってはまさにそんな場面です。
さて、この正解/不正解をどうやって検証すればいいかというと、
まずは区間タイムが切り出して測れるデータロガーが必要。
それがない場合はラップタイムで判断します。
ラップタイムで判断する場合は、複数個所を一気に変えるのではなくて
一かっ所ずつ走りを変えて、1~2ラップずつ交互にタイムを取って
どちらが平均タイムが良いかを比較します。
この日は各コーナーの最適解がどうこうという判断というよりは、
Fさんが「距離重視」と言って走行しているラインがどういうものか
(=どのくらいの振り幅で振っているのか)をチェックするということを目的に据えて、
一か所ずつではなくてコース一周であちこち変えて走って頂きました。
よって判断というよりも、Fさんの"振り方"と、「距離重視ライン」を取るときのポイントを振り返ります。
まず振り方については、大筋で適切だと思います。
効果が出るかどうか、何かを変えようという時にはまずは極端に振る。
これは実験の鉄則です。
振り幅が足らないと効果が出たのかばらつきなのかが分からないためです。
Fさんの振り幅は「ここを変えたんだな」というのが初見ではっきりと体感できたので、実験アプローチとして適切に感じました。
次に気にすべきことは、その振り幅の中で何水準刻んだかです。
振り方がAかBかの2水準だけだと、「やりすぎて逆効果」というゾーンに飛び込んでいる可能性があり、
AパターンとBパターンの中間に美味しいところがあった場合に見落としてしまいます。
走行ラインを変えるときは、イメージ"半車身"くらいの刻みで振っていくと良いのかなと思います。
#その刻みで振れるだけの運転精度は必須
スパイシー走行会の1枠10分強の走行枠ではこういう実験は向かないため、
フリー走行日に隔枠くらいで走る必要がありそうですね。
また、自分の中でどこをゴールに据えるのかも決めておくと良いと思います。
やり始めると非常に時間のかかる最適解追求ですが、
「AとBとCを試したら一旦その中で最適解を見つけて、結論を出す」
のようにゴールを細かく区切ることもアプローチのコツです。
これでコンマ1秒を削るのだという強い信念があれば良いですが、
この実験から得られるものは乱暴に言えば「ラップタイムだけ」です。
これでコンマ3秒くらい詰まると美味しい気がしますが、
これで詰まるのがコンマ1秒だとちょっとコスパが悪い気がしますよね。
実験パターンを振った結果、効果が小さければ一旦気にしないことにするというのも変に悩みの沼にハマらないために重要ですから、
何を期待してどういうレベルで実験するのかは明確に持っておくと良いですね。
続いて「距離重視ライン」を取るときのポイントです。
ポイントは・・・
①コーナー進入をコンパクトにするとき
減速、旋回、加速のリズムが崩れない範疇か?
②コーナー立ち上がりをコンパクトにするとき)
立ち上がりでアクセルを踏み切っている感じがあるか
①は1コーナーイメージでの話ですが、
アウトから進入、ミドルから進入、インから進入
で比べると進入が最も楽なのは「アウトから進入」ですね。
ある限度を超えると、クリップにつけなくなったり、
クリップにはつけるが大きく失速していたり、
立ち上がりで全然向きが変わっていなくてアクセルを踏めないなど、
「もはや無理して進入しているだけ」というゾーンに行きつきます。
「減速、旋回、加速のリズムが崩れたらコンパクトにしすぎ」
と考えておくと良いと思います。
②は当然、立ち上がりを窮屈にした分アクセルは踏みにくくなるのですが、
それが度を越えてしまうと距離を稼いだメリットを吐き出しきってしまい、
単純なタイムロスになってしまいます。
特にフェニックスからバックストレートに向かうところなど、
「長い加速区間に向かって立ち上がる」という場面では
アクセルを踏み切って立ち上がれているかを客観的に分析しましょう。
まずはそこが最重要だと思います。
いずれも、最終的にはデータロガーまたはラップタイムでの検証が答えですから、
正解かどうかを感覚ではなくてデータ(それも一発ではなくてアベレージ)で検証することも大切なポイントだと思います。
効果が出ると思って走ると「おお!何となくこっちの方が速い気がするぞ!」と思い込んでしまうものです。
"最適解"というのは感覚では見つからないものなので、
検証手段が確かか?をよく意識しましょう!
着目② まだ目先の最適追求に焦ってほしくない
繰り返しのレッスン&自主練効果で走りが激変したFさん。
僕もその上達っぷりが嬉しくて、ついつい賞賛してしまうくらいなのですが、
最近は少し「調整」に意識が向いていると思います。
忘れてはいけないのはどんな"調整"もベースは運転の精度であるということ。
ここからは決してお説教ではないので是非笑顔で読んで欲しいのですが(笑)、
やっぱり何にも優先して最も大事なことは基礎なんですよね。
今回のカルテの後半では"基礎"について再度考えてみましょう。
正確に止める、
正確に曲げる、
正確に加速させる。
このそれぞれの操作がきちんと出来ていて、
その先に初めてライン取りであるとか、空気圧であるとかの「調整」が生きてきます。
Fさんの操作はいずれも「きちんとできている」という方向に確実に向かっています。
ここを失速させずに、是非磨ききって欲しいと思っています。
ここで自分の話をすると、実は僕自身がこの基礎について"最近衰えている"と自覚しています。(笑)
「それで人に言うんかい!?」というツッコミを自分で入れたくなりますが、
なぜ衰えたかというと基礎を磨こうという意識での練習量が足らないからなんです。
#なんという自虐
#なんというカミングアウト
僕は美浜サーキットでレッスンをする関係上、自分で走れるのはオフィシャル走行枠だけ。
1~2か月に1回くらい美浜サーキットに行っているものの、
各日の走行量が20分程度じゃ全然足らないんですよね。
実はその悪循環を生んだのが"ピーク性の強いハイグリップタイヤ"で、
少し走るだけでタイヤカスまみれとなって車の挙動が変わってしまい、
摩耗も早いものですからそれがイマイチ面白くなくてあまり周回しなくなったんですよ。
その結果どうなったかというと、特にブレーキングのスキルが落ちました。
一発しかチャンスのないタイヤで、一発のチャンスにオーバーラン(ロス)してしまうことを避けるために、
進入を抑え気味にするクセが染み付いてしまったのです。
結果、僕のブレーキングは踏み始めのタイミングが甘く、少し余っていると感じる頻度が上がってきました。
ラップタイムはそこそこ出るのですが、自分の中で決して"スーパーラップ"ではないわけです。
この"攻め切れていない感"というのは非常にモヤモヤするもので、
このモヤモヤから再び解放されるには基礎を磨きなおすしかない!と思っています。
#それで愛機のタイヤをミシュランPS4Sにスイッチしました
#"タイム"よりも極めたいものがある
何が伝えたいかというと、
一度きちんと走れるようになった人でも、出来たと思って気を緩めるとすぐに腕は落ちてしまうということです。
Fさんのドライビングは今とても良い"上昇カーブ状態"なので、
ぜひその技術を維持・向上させる意識を強く持ち続けると良いと思います。
何だ、結局お説教じゃないかというツッコミは無しですよ。(笑)
言いっぱなしでは本当に説教で終わってしまうので、
Fさんを具体的にサポートするために、
次回は裏メニュー(GPSロガーでの計測)を提案しようかと思います。
走行ラインやブレーキング、アクセル操作がどのくらい安定しているか、
車速と位置情報だけの簡易なものではありますが、
スマホの無料アプリよりも詳しく自分のドライビングを眺めることが出来ると思います。
#僕自身がFさんのドライビングをデータで観測したいという興味もあったりして
以上、Fさんへのレッスンレポートでした。
毎回受けて下さっているFさんからは
「もうブログに書くネタがなくなりますよね」といわれました。(笑)
表面上の出来事を書こうとすればネタはなくなっていく方向なのですが、
SHIFT UPのレッスンは直近の当日レッスンだけではなくて初回からの連続で受講生の取り組みを見ています。
じっくりとFさんの取り組みを振り返って、
今どこまで来ていて、次にどうすれば一番良いんだっけ??ということを考えていくと、贈る言葉は尽きないと思います。
そのために僕自身が勉強を緩めることは出来ないなぁ・・・と、
Fさんにレッスンを行うたびにその真剣さを見て刺激をもらっています。
また今後も是非遊びに来てくださいね!
最後にモータースポーツ教室 SHIFT UPのLINEアカウントをご案内します。
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スパイシー走行会に良く参加される方には是非ご登録頂きたいです。
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以上です。

コメントをお書きください
Fことブルベ番長(みんからネーム) (土曜日, 11 12月 2021 20:51)
今回もありがとうございました。
なんかめちゃくちゃ持ち上げていただき、恐縮というかこそばゆいです(笑)
今回フィードバック時間取れなかったこと、同乗テーマのライン取りのタイム結果は判っている状況で、どんなブログとなるのか楽しみに待ってましたが、良い意味で期待を裏切られました。
これからどうしていくべきか、とても参考になります。ネタ切れの心配不要というか失礼な心配でした。ちゃんとしたロガーも是非試してみたいです。
私は今年の3月にサーキットデビューしましたが、表面上のテクニックだけでなく、そのときの自身のレベルにあった考え方、練習の方向性も含めて定期的に見てもらえる(しかも低コストで笑)スポーツドライビングのレッスンて、中々無いと思ってます。なので初心者の段階でシフトアップに出会えたのはラッキーでした。
基本的に運動音痴の私が半年でそこそこ走れるようになった訳ですから。
またよろしくお願いします。(ただ2月はエントリー遅れてキャンセル待ちですが)
SHIFT UP 村上 (日曜日, 12 12月 2021 12:42)
いつもコメントありがとうございます!
今回は帰った後で色々と振り返ったのですが、
仰る通り、ラップタイムがどうだったかという点はもう分かっていますし、
加えて短い時間でのABA実験はFさんの特訓の一部を切り出しただけ・・・
どう振り返ると今回のレッスンが活きるか?というところから今回のブログとなりました。
ネタ切れの心配はないのですが、繰り返しレッスンしていくと表面上のテクニックの話では"知ってる話"の繰り返しになってしまいますので、SHIFT UPカルテを書く難易度が上がるのは事実です。(笑)
次回はロガーで運転をデータで眺めてみましょう!